*キョンが先天的に女子です。ハルヒも男子です。古泉は男のままです。
ひどいのが苦手な方。報われないのがダメなかたは。ご遠慮ください。
















俺には好きなやつがいる。
そいつのためならなんだってしてやれる。
だって心から愛しているから…。

だからそいつのためなら

嘘だって平気でついてやる。


-嘘。-



放課後の部室
活動時間はとっくに終わっている時間で、
俺とハルヒコ以外のメンバー皆帰ってしまっていた。

なぜハルヒコと俺が放課後のこんな時間までダラダラと残っているかというと。
恋人同士で多くの時間を共有したいという
ハルヒコの意見を尊重してやっているからだ。

だからといってこう毎回毎回部室にダラダラとしているわけじゃない。

買い物にいったり、2人で不思議探索という名の下にゆっくりと散歩をしたり
まぁ高校生らしい清い交際をしていた。

「おい。2人の時にボーっと何を考えてるんだよ!」

はぁっと。頬杖をつきながらため息をついていると、
背後からぐいっとポニーテールを捕まれた。
こいつはよく俺のポニーテールをこういう風に掴むんだが
お前は軽い気持ちでひっぱるんだろうが、痛いんだよ!

「ふんっ。だったら2人でいる時くらいずっと俺を見てろよ!」
「っ!…な」

言って恥ずかしくなったのか顔が赤いぞ。ハルヒコ。
その顔を隠すためか、上を向かせて唇を奪われた。
段々と深くなる口付けに頭がぼーっとしてきた。
中学時代色々経験してきたせいか、
こういうことはあきれるくらいに上手いんだコイツは。

「ん…ふっ。」

思わず鼻から抜けたような声がもれる。
唇をはなされて、マジマジと俺の顔をみる。
やめろよ恥ずかしい…

と、そのまままた顔が近づけられる
またキスをされるとギュっと目をとじたが
その唇はそのまま俺の耳元まできて

「ごめん。キョン。俺もう我慢できない。」

と熱っぽい声で囁かれた。
ゾクっと一瞬背筋に何かが走った。

「ちょっ!まてハルヒコ…」
手でハルヒコの顔を押しやる。
「…いやなのか?」
寂しそうな顔でそう聞いてくる…
「だっ…だってほらここは神聖な学び舎だぞ!!!
それにいつ誰かここにくるか分からないし…
ほっ!ほらそれにもうこんな時間だっ…見回りくるぞ!」
「…分かったよ…」
一瞬傷ついたような顔が見えたような気がしたが…
気のせいか。
「…じゃぁ。もう今日は帰るぞ。」
「おっ…おう。」

なんだか気まずい。ぞ。
そのまま無言で帰宅をして、いつもの道でハルヒコとは別れた。

なんとなくハルヒコの背が見えなくなるまで見送った。

さぁ俺も帰るかと。
思ったその時、カバンの中で携帯が震えた。

ディスプレイに表示されている名前は。

古泉一樹

ドクンっ。っと胸が高鳴った。

「もしもし…」
『もしもし。話があるので、僕の部屋にいて下さい。
僕はこれからバイトがありますので少し遅くなるかもしれませんが、待っていてください。』
分かったともなんとんも返事をする前に電話は切られてしまった。

あぁ…さっき俺が拒絶したので閉鎖空間を起こしたのか。
…なんというか…



家に友達の家に行くから遅くなると連絡をいれてから、
古泉の家へ向かい。合鍵を使って中へ入った。

なんで合鍵なんて持ってるかって。
そりゃぁ。俺と古泉は…




ソファに座ってボーっとしていると
ガチャっと玄関が開いた。

「あ…おかえり……なさい。」
帰ってきた古泉にいつものスマイルはない。
「あっあのごめんなさい。俺のせいで…」
はぁっと古泉の口からため息が洩れる。
ビクっと。自分の身体強張るのが分かる。

「あなたがたの事は24時間監視させていただいていますからね。
何があったかは聞かなくても分かります。
率直にお聞きしますよ。…なんであのまま涼宮くんに抱かれなかったのですか?」
ニコっと、微笑みながら聞かれる。
背筋が凍る感じがした。
「なんでって…俺も初めてだったし…
それに…俺っ俺っ。初めてだけはお前に!」
「いやですよ?キスをする時もそういってあなたがわがままを言うから
先にしてあげましたけど…あなたと涼宮くんを差し置いてセックスをすることはできません。」
絶対にね。と、冷たい瞳で睨み付けられる。
「あなたは男性とのお付き合いなんてしたことないことになっているのに。
処女じゃないなんてまずいでしょ?」
それとも性犯罪の対象になったとでも言い訳するんですか?
クスクスと笑いながらそう付け加えた。
「な…っ!俺はお前のことが好きだって知ってるだろう?」
思わず涙が溢れ出してきた。
そう俺は古泉が好きだ。ハルヒコじゃなくて俺が好きなのは古泉なんだ。
いつだってさりげなく守ってくれていたこいつに、いつのまにか俺の心は完全に奪われていた。
そして思い告げた。その結果了承はもらったが、条件の下でのみでの関係となった。
「ええ。十分承知していますよ。
ただ…そんな我侭を言うならこの関係は続けられませんね。」
「そんなの嫌だ!」
「じゃぁ。あまり我侭をおっしゃらないでくださいね。」
僕とこのままいたいのでしたらね。

古泉と恋人同士になるための条件。それは、涼宮ハルヒコの機嫌をそこねないように
表向きは彼と付き合うこと。
俺は古泉が好きすぎて完全に心が麻痺していたんだろうな。
その条件を飲んで、誰かに見られたときの事を考えて、
この部屋の中だけで古泉と恋人同士になった。
それでも俺は嬉しいんだ。
だって常に俺の事も気にかけてくれるって事だろう?
たまに俺がハルヒコと揉め、閉鎖空間が発生するとこうして呼び出されて
条件を再認識される。
「それに、あなたが涼宮くんにちゃんとだかれたら。ご褒美として僕もあなたを抱いて差し上げますよ。」
そう飛び切りの笑顔で言われ、口付けられる。
あぁ…また心が麻痺する。俺はコックリと、頷いたのだった。


古泉の家からの帰り道。
俺はハルヒコに電話をかけた。
しばらく鳴らしてやっと電話は繋がった。
『なんだよ…。』
不機嫌さのつまりまくった声が聞こえてくる。
「あ…あのさ。今日の放課後はごめんな。」
受話器の向こうは沈黙だ。
気にせず俺は続ける。
「その…いきなりだから恥ずかしかったし。
どうせならその…公共の場じゃなくて…俺はお前と2人きりの時がよかったんだ…」
だからと続けようとしたがそれよりはやく、ハルヒコが喋りだしていた。
『あ…それは…俺もいきなりで悪かった。ごめん…な。』
急にしおれた声で謝罪の言葉を口にしたハルヒコに俺は少し驚く
『で。だ。今日の事はお互い水に流してだな…。
明日。俺の家だれもいないんだ。丁度金曜の夜だし。…泊まりに来いよ。』
「うん。分かった。」
あっさりと承諾の返事をした。
その直後のハルヒコの嬉しそうな声といったら…
そして他愛もない会話をして電源ボタンを押した。


「…これでいいんだよな。古泉。」
ぽつりと。つぶやく。
ハルヒコに抱かれたら。そのまま古泉の家に行こうと考えながら、俺は自分の家の扉を開いた。
なんだかちょっと胸が痛むな。
でも構わない。
俺は古泉のためならなんだってできるのだから。




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病んでる。
ばれた時編。古泉サイド編も考えてます。
じゃないとなんだか酷すぎる。
でもそれじゃぁショートにならんがな。



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